大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2620号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(爭点)

本件公訴事実は、「被告人(医師)はその堕胎手術の不手際から男女の子宮体に損傷を負わしめ、それによる失血のため同女を死亡させた結果、右死因を蔭蔽するため直接死因として急性汎発性腹膜炎、直接死因の原因として急性虫様尖起炎なる虚偽の事項を自ら記載した甲女の死亡診断書二通を乙男に手交し、同人を介してこれをA保健所及びB区役所に提出せしめて虚偽の診断書を行使した」というのである。原審は、死亡届の届出義務者でなければ刑法第一六一条第一項の罪の成立することはないとして乙男が本の右届出義務者であることを理由に、同人の共犯又は従犯となるは格別、被告人が自ら直接行使者としての責任を負うものでないから右公訴事実は結局罪とならないものと判断し無罪の言渡をした。これに対し検事控訴して有罪を主張している。

(判旨)

苟くも公務所に提出すべき医師の診断書が虚偽の記載内容を有している限り、そのことを認識して当該公務所にこれを提出行使した以上、その行使者が、人を介してこれを行いたるとはたまた、該診断書の法定の提出義務者であると否とを問わず虚偽私文書行使の罪の成立するを妨げない。……(中略)……右公訴事実にして認め得らるるものがあるにおいては、前段説示するところに照し、当然被告人は刑法第一六一条第一項所定の虚偽私文書行使の罪の刑責を免かれ得ないものと言わなければならない。果して然らば……(中略)……原審は法令を誤解した結果刑訴法第三八〇条にいわゆる法令の適用を誤るの過誤を冐したるに帰する。

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